ミュージアムにでかけよう:沖縄県立博物館

博物館って過去のもの?

訪れた場所(国や県)についてざっと知りたいのだったら、博物館に行くのはいい方法です。歴史や文化について展示しているのが博物館ですし、そこのお宝も展示しているからです。とりあえず博物館に行ってみると、その場所のことがわかるかもしれないってことです。歴史の本を読むことを考えれば、サウンドやビジュアル効果付きの展示をざっと見て回るだけで、わかるというのはオトクだと思います。早とちりはいけないけれど。

美術館・博物館についてのミニアンケートレポートをみると、「この1年間で美術館・博物館を利用していない」人は過半数です。まあ、そんなもんですよね。「博物館行き」と言うと、もう既に役に立たなくなったモノを指すし、自分とは関係ないと思っちゃいます。でも、知恵を絞ってお金をかけてわかりやすい展示をしている博物館もたくさんあります。料金もそんなに高くないし。

博物館や美術館を楽しむコツ

コツというほどの大げさなものではないんですが、バカていねいに見ないことです。すみません、ちょっと言い過ぎました。1点1点同じペースで見ると疲れちゃいますので、メリハリを付けて見ることです。

具体的にどうするかというと、

  1. まず、展示室をざっと見渡します。
  2. 気になった作品や展示の前に行きます。
  3. じっくりと展示や作品の意味(何を主張しているのか、何が描かれているのか、何が起きているのか)を考えます。
  4. お友達と一緒であればお互いに感想を話すといいですし、自分だけであれば簡単なメモを取ると理解が深まります。

これを繰り返します。気になるものはじっくり、そうでないのは見ないかサッとすませます。「順番に見ないとわからないのではないか」という不安もあると思います。不安でしたらタイトルだけ確認するとか、印象だけ確認するとか、とにかく時間を掛けない。買ったCDでも全曲をていねいに聞くわけでもないので、これでいいんじゃない?ってノリで済ませちゃいます。

肩の荷がおりました。さあミュージアムにでかけましょう。と、自分に言い聞かせます。

沖縄県立博物館

沖縄県立博物館は美術館と同じ建物にあります。ゆいレールで「那覇空港駅」から10駅目の「おもろまち駅」で降りて徒歩10分です。

チケットを買って中に入ります。常設展は410円です。音声ガイドは無料で、情報センターで手続きをして借ります。
こんなジオラマが出迎えてくれます。テーマは「海と島に生きる」です。
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展示の構成

沖縄県立博物館は、中央エリアに7つの総合展示(概要の展示)があり、それを取り囲むように5つの部屋で部門展示(専門の展示)があります。

総合展示室 部門展示室
ニライカナイの彼方から
1.海で結ばれた人々
2.貝塚のムラから琉球王国へ 自然史部門
3.王国の繁栄 考古部門
4.さつまの琉球支配と王国 美術工芸部門
5.王国の滅亡
6.沖縄の近代 歴史部門
7.戦後の沖縄 民族部門
沖縄の今・そして未来へ

こんなふうに、総合展示エリアから部門展示室へつながっていて、詳しく見たい人は部門展示室に行けば良いように、動線が工夫されています。

これだけは見逃すな!

この博物館がすごいのが「これだけは見逃すな!」というマップ(A4サイズ)が配付されていることです。*1副題が「見学時間が短くても(長くても)これだけは見ておこう!」となっています。

「これだけは見逃すな!」は表がマップ、裏が簡単な解説になっています。見逃せないのは全部で11点。その中からいくつかを写真と一緒に書きます。展示品は基本的に撮影OKですが、ダメなものもあります。
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「ヤンバルクイナ」です。1981年に発見された沖縄東北部に固有の鳥。国指定の天然記念物です。
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「港川人(みなとがわじん)」沖縄島の南部、港川フィッシャー遺跡から発見された約2万人前の化石人骨から復元。結構リアルですね。
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「旧首里城正殿鐘(万国津梁の鐘)」と「(中国皇帝への)進貢船」
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マップを片手に展示物を探すので、ゲーム感覚もあって子どもも楽しんでました。

歴史に思う

琉球王朝の大交易時代から薩摩藩による侵攻と支配、明治維新での琉球王国の解体と沖縄県の誕生。太平洋戦争での多くの犠牲とアメリカによる占領と返還。沖縄と本土の関係の歴史を改めて見ながら、本土(とは言えないくらいかなり田舎の島ですが)に生まれ育った自分はその歴史の延長上にいるのを心に留めて置かなければならないと思いました。

展示の最後は現代生活の写真と未来へのメッセージでした。

ふれあい体験室

いろいろな海岸の砂の標本があったり三線(沖縄の三味線)を教えてくれたりするエリアです。私も「涙そうそう」(のごく一部)を弾かせてもらいました。

沖縄県立美術館

コレクションギャラリーとして、沖縄で活動する宮良瑛子さん*2の「いのち」展と「沖縄美術の流れ」展があり、やはり戦争と平和にどう対峙するのかは様々な面から問われている気がしました。特別展として志村ふくみさんの「母衣への回帰」展を開催していました。白橡から深緑までの一連のシンプルな色の凄みには最初から圧倒されました。いずれも見応えは充分で至福の時を過ごさせていただきました。こちらも全部をていねいに見るのではなく、メリハリを付けて鑑賞しました。
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感想

過去に様々な出来事があって、今の価値観や倫理観から過去をはかることはいけないけれど、かえりみるのは必要だと考えさせられました。そんな意味からも、博物館で歴史に触れるのは意義があると思います。

施設情報

・沖縄県立美術館
大人料金:410円
開館時間:9時〜18時
休館日 :毎週月曜日(月曜日が祝日であれば翌日が休館)
住 所 :那覇市おもろまち3丁目1番1号
・沖縄県立美術館
大人料金:310円(コレクションギャラリー)
大人料金:1200円(志村ふくみ「母衣への回帰」展)
開館時間:9時〜18時(曜日によって異なります。)
休館日 :毎週月曜日(月曜日が祝日であれば翌日が休館)
住 所 :那覇市おもろまち3丁目1番1号
詳細はWebで確認して下さい。
www.museums.pref.okinawa.jp

*1:ちょっと気づきにくい場所にありますので、ぜひ係の人に言ってもらいましょう。

*2:宮良瑛子さんは沖縄出身の夫と1971年に沖縄に移住して、沖縄女性への共感を描いた作品描き、その後ベトナム戦争等を題材にした作品を描きました。

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