江戸東京たてもの園はゆっくり見ると1日かかるので、ガイドさんお勧めの建物を紹介します

江戸東京たてもの園は、東京都立小金井公園内にあって、7ヘクタールの広さです。7ヘクタールってピンとこないですよね。東京ドームだと1.5個分くらい、サッカーフィールドだと10面分くらいです。これだけ広いので、ゆっくり見て回ると1日かかります。ですが、入園料はたったの400円(一般)です。とてもコストパフォーマンスに優れた建築ミュージアムです。

アクセス

アクセスは武蔵小金井駅、花小金井駅、東小金井駅のそれぞれからバスに乗ります。私は東小金井駅からコミュニティバスに乗りました。一方向の循環バスで、料金は一律大人100円です。「たてもの園入口」バス停で降りて徒歩10分です。
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小金井公園に入口には交番があります。向かって右です。ちょっと洒落た建物ですね。
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訪れた時は12月。晩秋というより初冬ですが、紅葉がまだまだ綺麗でした。
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入園券はビジターセンターで購入します。ビジターセンターも歴史的建造物の光華殿を改修した建物です。
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ボランティアガイドによる案内があります。所要時間は1時間で、解説を聞きながら見て回るととても良くわかります。この日は13時30分からのスタートでした。
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西ゾーン

綱島家(農家)

広間型の間取りを持つ茅葺の民家です。民家は全部で4つありますが、なぜこの綱島家がお勧めなのかというと、一番古いからだそうです。江戸時代中期の建物です。
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土間があって囲炉裏があって、棚にはしめ飾りがしつらえてあります。このミュージアムが素敵だと思うのは、大根やしめ飾りのような雰囲気作りがなされていること。単なる資料として展示するだけではなく、「どのように使われていたのか」「なんのためのものなのか」への理解の助けになりますね。
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デ・ラランデ邸

訪れた時は残念ながら工事中でした。天皇陛下がお偲びで来られたときに、このデ・ラランデ邸でお休みになられたそうです。オープンしていれば、邸内のカフェ「武蔵野茶房」で食事もできるそうです。
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平屋建ての洋館を、ドイツ人建築家、ゲオルグ・デ・ラランデが3階建てに増築しました。
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三井八郎右衛門邸

全国の三井家の建物をパッチワークのように集めて建てられたそうです。明治30年に京都に建てられた客間と食堂が移築されました。
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蔵には長持がありました。高価な衣装や道具が入っていたことが忍ばれます。
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庭も掃除が行き届いています。
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常盤台写真場

昭和12年に建てられた写真館です。当時は照明設備が発達していなかったので、光を得るために北側に大きな窓が作られました。
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2階は写真撮影状になっていて、スタッフがシャッターを押してくれました。窓ガラスは安定した光を得るためのスリガラスがはめられています。
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前川國男邸

日本の近代建築の発展に貢献した前川國男氏が自邸として建てたものです。「死ぬまでに見ておきたい建築」という本の中には東京江戸たてもの園の3つの建物(前川邸、小出邸、大川邸)が入っているそうですが、その中でもいちばん見応えがある建物です。ガイドさんによれば、建築を学ぶ人にとても人気のある建物。建築家が自分のために建てたので、いろんな工夫が施されているんだそうです。
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中央の柱は、当時、近所に転がっていた電柱を用いたそうです。
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田園調布の家(大川邸)

1925年に田園調布に建てられた住宅です。今も昔も高級住宅街の田園調布。90年前に建てられたとは思えないモダンな大川邸です。部屋には畳はなく、まるでアメリカの家のようにファミリー中心の構成になっています。
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クリスマス前だったので、赤いリボンが飾られています。
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江戸たてもの園の中で、女性の90%が欲しがる家なんだそうです。
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小出邸

建築家、堀口捨己が、オランダのデザインと日本の伝統的造形を併せた作りを設計した建物ですが、残念ながら工事中でした。絶賛お勧めだそうです。
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その他の建物

・奄美の高倉
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・吉野家(農家)
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・八王子千人同心 組頭の家
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センターゾーン

高橋是清邸

高橋是清は、昭和の金融恐慌のときに、大蔵大臣としてモラトリアム政策で乗り切った政治家ですが、2・26事件で暗殺されてしまいました。

昭和史 1926-1945 (平凡社ライブラリー)

昭和史 1926-1945 (平凡社ライブラリー)

高橋是清が住んでいた建物の母屋部分です。
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2階は2・26事件での高橋是清暗殺の現場になりました。
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 近衛歩兵大三連隊、中橋基明中尉、中島莞爾少尉ら約百名が、高橋是清蔵相の私邸襲撃。(中略)

この時、非常に立派だったのが、狙われた人たちの奥さんでした。(中略)

高橋是清蔵相は、撃たれたうえに左腕を切られて死んだのですが、夫人の志なさんは来訪した新聞記者に向かって「青年将校は卑怯に存じます」と言い放ちました。
(『昭和史1926-1945』半藤一利)

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高橋是清邸は明治35年の建築で、専門家によれば「銘木の博物館」なんだそうです。

西川家別邸

製紙会社を設立した西川伊左衛門の隠居所&接客用の建物です。写真を撮り忘れたのですが、庭に敷いてある煉瓦はボイラー会社のものだそうです。
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伊達家の門

旧宇和島藩・伊達家が大正時代に東京に建てた屋敷の表門です。扉はけやきの一枚板だそうです。見事なものですね。
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その他の建物

・旧自証院御霊屋(きゅうじしょういんおたまや)
尾張藩主・徳川光友の正室・千代姫が母親であるお振の方を供養するために建立した霊屋です。
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・会水庵
山岸宗住(会水)が建てた三畳台目の茶室です。
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東ゾーン

万世橋交番

とても古くて明治後期に作られたと推定されています。六畳一間なんですが、ここで生活をしていた(生活できてた)ことが中に入るとわかります。
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コンパクトですね。手前が交番の机。左奥が洗面所、右奥に畳があって布団が敷けます。
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下町中通り

建物ではなくてエリアです。人気ゾーンです。NHKの土曜時代ドラマ「悦ちゃん」の撮影がここで行われたそうで、訪れる人も多いのだとか。
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このエリアにはうどん屋さんがあります。満席だったので食べられなかったのが残念でした。灰色の蔵の建物です。1階には無料休憩所があって、飲み物の自動販売機もあります。
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昭和初期に迷い込んだようで、割烹着を着た婦人が勝手口から出てきそうです。
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村上精華堂

化粧品店です。とてもモダンですね。壁面は洋風、屋根は瓦葺きの和風で、和洋折衷になっています。入口の引き戸は木造で和風ですね。
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植村邸

関東大震災で東京は大火事に見舞われました。震災の復興のときに多く使われたのが銅板です。木の建物だと火が燃え移りやすいので銅板で包むことが多かったそうです。
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植村邸も中身が木造で和風、外側が銅板で覆って洋風になっています。特に建物の前面を銅板で覆った姿を看板建築と呼びます。正面だけ(?)立派ってことでしょうか。

この日はイベントとして伝統工芸の実演をしていました。市松抱き人形を藤村光環さんが作っていらっしゃいました。
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この建物は東京大空襲で、数々の焼夷弾が落とされて他の建物が焼けていく中で、無事に残った建物だそうです。「焼夷弾の焼け残り」とガイドさんがおっしゃってました。

花市生花店

昭和初期の(こちらも看板建築の)花屋さんです。隣の文具店(武井三省堂)とくっついています。
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武井三省堂

昭和初期創業の文具店で、こちらの看板建築は全面がタイル張りになっています。
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さて、この文具店。なんでも「千と千尋の神隠し」の釜爺がいたボイラー室のモデルになっているとか。部屋の左側はボックスの棚になっていて、いろんなものが入っていそうです。ただ、ここに来ても、釜爺はいないので電車の回数券はもらえません。
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この文具店には(ガイドさんいわく)秘密があります。

それは、地下室があることです。帳場の横の覆いをずらすと地下室への階段が現れます。
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ガイドさんに「写真をとってもいいですか?」と尋ねると、「もちろん」と答えながら、地下室を持っていた懐中電灯で照らしてくれました。とってもやさしいおじい様です。

小寺醤油店

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建物内部から腕木を出してその上に桁を乗せています。その桁の上に垂木を乗せています。こうすることで、ひさしが長く作れるんだそうです。醤油が日焼けしなくて済むんでしょうかね。このようなスタイルを出し桁(だしげた)建築と呼ぶそうです。
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子宝湯

東京型銭湯の典型的な建物だそうです。銭湯とは思えない、まるで神社仏閣のような二つの破風の屋根を持っています。ご利益がありそうですね。ここで入浴すると本当に子宝を授かりそうです。
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唐破風の下には七福神が彫ってあります。ガイドさんによれば、当時の家を2軒建てられるほどの高い彫刻なんだとか。ご利益がありそうです。
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銭湯では、壁に風景、特に富士山が描かれているってイメージです。でも東京にはもう3人しか描ける人がいないそうです。
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この富士山はその3人の中の1人、中島盛夫さんが描いたんだそうです。
銭湯絵師・中島盛夫 公式ホームページ

ガイドさんによれば、東京の銭湯のナンバーワンは北千住の大黒湯だそうです。大黒湯も中島盛夫さんの富士山が描かれています。

鍵屋

居酒屋である「鍵屋」の建物です。建物は江戸末期安政3年に建てられて、震災と戦災を免れてきました。
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鍵屋は今も鶯谷で営業しているそうです。ガイドさんによれば、あんまり飲みすぎると(例えばお酒五合くらい)、「もう、帰りなさい」の合図としてところてんが出てくるとか。

一杯やりたくなる店内ですね。
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その他の建物など

・丸二商店(荒物屋)
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・大和屋本店(乾物屋)
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・川野商店(和傘問屋)
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・都電7500形
ガイドさんは、昔よく乗ってたそうです。
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まとめ

ちなみに、この1時間にわたるガイドツアーは無料です。ボランティアガイドさんによる愛情あふれる案内で、見て回れます。ツアーでは建物の内部には入りませんでした。おそらくひとつひとつ入っているととても時間が足りないんでしょうね。たてもの園が大好きなガイドさん。その愛情をいっぱい感じるツアーでした。

次回はぜひ、カフェ「武蔵野茶房」でお茶をしたいな。

江戸東京たてもの園情報

開園時間
4月~9月:午前9時30分~午後5時30分
10月~3月:午前9時30分~午後4時30分
※入園は閉園時刻の30分前まで

休園日
毎週月曜日(月曜日が祝日または振替休日の場合は、その翌日)
年末年始

 

8 件のコメント

  • 猫やぱ(妹)さん、あけましておめでとうございます。
    日本人形って独特の世界があるって感じますよね!

  • arikiriさん、前川邸はほんとおしゃれなお家だと思いました。
    また訪れたいです。

  • 明けましておめでとうございます。 今年もよろしくお願いします。
    今年も素晴らしい年でありますように。

  • softwindさん、いつもありがとうございます。
    こちらこそ、今年もよろしくお願いします。

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