ANA683便 JA816A
羽田空港発、広島空港行きのANA683便はボーイング787ドリームライナーでの運行です。定刻の17時15分の3分前には客室乗務員によるドアが閉められたことのアナウンスがあり、順調なフライトの滑り出しかと思われました。
冷たい雨が降る中をB787は滑走路へとタキシングしていきます。緑や赤のランプが窓に付着した雨粒に滲んできらめいています。
滑走路で一旦止まったあとにジェット音が大きくなります。タイヤがなる音が軽快さを増していくうちに、ゴォーっという大きな音と共に急ブレーキ。仕事の疲れから少しウトウトとしていた私は驚いて目が覚めました。
座っていた場所は非常口付近でした。もしもシートベルトをしていなかったら目の前の客室乗務員にめがけて突進していたことでしょう。思わず「おーっ」と叫んでしまいました。

滑走路の端に止まったままのB787。しばらくして、機長からアナウンスがありました。
お詫びの言葉に続いて、現在副操縦士がプログラミングをやり直しているのでその時間を利用してのお知らせとのことです。
管制から急に離陸の取り消しがありましたため、急制動をいたしました。
管制から着陸機があるということで急遽こちらの離陸を中止しましたが、すでにこちらの飛行機は離陸の体制に入っておりました。
緊急停止のためには逆噴射装置を使うことが私たちのプロシージャとなっております。
逆噴射装置を使いますと、飛行機は着陸モードにはいります。そのために離陸ができなくなり、副操縦士が再離陸に向けてコンピューターへの入力をしております。
管制官に対しては、非常に危険な操作であったことを申し上げました。管制官もそれを認めております。機長の責任に置きまして処理いたしますのでご安心ください。あと5分程度、プログラムの入力に時間がかかります。その後に広島空港へ向けて離陸をします。
管制から離陸の許可に従ってANA683便が滑走路から飛び立とうとしてるときに、管制官が着陸機があったことに気づき慌ててANA683便に対してストップを掛けて離陸の許可を取り消した。そのため逆噴射を行ったということなのでしょう。
なお、このような訓練等はしっかりやっております。この度の離陸についても安全を確認しておりますのでどうぞご安心ください。
具体的な説明で安心はしたものの、それでも小心者で不安症の私は、また何かあるんじゃないか、車輪が滑走路を離れた瞬間に、着陸機が目の前を横切るんじゃないかとヒヤヒヤしておりましたが、なにごともなく雨が降る冬の暗い空へと飛んでいきました。約40分遅れの17時54分の離陸でした。
あたりを見回すと、何事もなかったかのように乗客の皆さんは平然としています。もしも、他の飛行機へ着陸の許可を出していることに管制が気づくのが遅くなり、この便が離陸してしまったら、着陸機と衝突していたかも…なんてことを考えるのは私だけ?
緊急停止の際は逆噴射を使うこと、逆噴射を使うと着陸モードになること、着陸モードからプログラミングをやり直さないと離陸できないことが機長のアナウンスから伺えます。
ともあれ、機長の頑張り(?)で挽回して16分遅れの19時1分にANA683便は平和に広島空港に到着したのでした。

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